綱(ロープ)の仕組みとはたらき

帆引き船には、綱(ロープ)がたくさん取り付けられています。昔は「麻縄」や「シュロ縄」などが使われていました。

船をあやつるために、綱の一本一本が重要な働きをしています。

説明の番号と図の番号が一致しているので、図と照らし合わせながら読んで下さいね。

1.下げ縄
帆桁(ほげた)から下げられた綱で、帆桁のたてゆれ、よこゆれを押さえる働きをします。

2.水縄(みなわ)
帆柱に取り付けられた綱で、帆桁(ほげた)を上げたり下げたりするはたらきをします。

3.はず縄
帆柱のてっぺんから船首と船尾にのびている2本の綱で、帆柱を支えるはたらきをしています。

4.帆桁縄(ほげたなわ)
帆桁(ほげた)と帆をつないでいる綱です。

5.たすき
帆を広げる綱です。昔は、クロスさせて裏帆(うらほ)を防いでいました。

6.ものぐさ縄
船の進路を変える綱です。(くわしくはテーマ2を見て下さい)

7.帆足(ほあし)
「帆足の針金」と帆をつないでいる綱です。

8.帆足の針金
太い針金製で、帆を張るため帆の下側を押さえる働きをしています。

9.出し縄づめ
手元で「出し縄」をつめたりのばしたりする綱です。「出し縄よせ」とか「かよい」とも言います。

10.帆足付け縄
帆足をより延ばすための綱です。

11.中つり
帆桁(ほげた)中央から網のシドに結ばれている綱で、網を浮かせる役目をしています。

12.つり縄
網を引く働きと風で帆が押されても倒れない働きをする綱です。(詳しくはテーマ2を見て下さい)

13.出し縄 網を引く働きをする綱です。

14.寄せ縄 網を回収する時、網とつながれていた5本の綱を素早く集めるため、後ろ側のつり縄と出し縄を同時に引き寄せるための綱です。

15.天つり 帆柱を立てる時、帆柱が風下に倒れるのを防ぐ役割をする綱です。

帆引き船にはこんなにたくさんの綱(ロープ)使って船をコントロールしながら漁をしているのです。 これって、すごいことだと思いませんか!

「水縄(みなわ)」をもっとくわしく!

帆と帆桁(ほげた)を引っ張り上げるにはとても力が要ります。ですから、帆桁(ほげた)に取り付けた動滑車(かっしゃ)の働きで上げる力を半分に減らす工夫がされています。

「たすき」をもっとくわしく!

「たすき」を「帆広げ縄」と呼んでいる人もいます。図のように金輪付きのたすきを引っ張ることで帆をスムーズに広げる事ができます。

「出し縄づめ」をもっとくわしく!

「ものぐさ縄」は進路を大きく変える場合に使いますが、「出し縄づめ」は急いで船の方向を変えたい場合に使います。綱の一方を引いて「出し縄」をつめ、船を強引に曲げるのです。

「危ない、ぶつかるぞ!出し縄づめを引け!」

他の船との衝突をさけたり、障害物をさけたりする上でなくてはならない綱です。

また、急に風が弱まったり、止んでしまったりした時など、つり縄の重さで船が網側に傾くことがあります。そのような時は、左右の綱を同時に引いて船体を起こし、船の姿勢を安定させます。

昔はこの操作を応用した漁もあったようです。風の弱い時など、断続的に船を起こしたり傾けたりしながら流したため「タックン引き」といわれていたそうです。

帆柱の仕組みとはたらき

次に帆柱を見ていきましょう。帆引き船の帆柱は、船体のほぼ中央に立てられ、主に次の二つの約割りをしています。

1.水縄(みなわ)と共に帆を上げ下げする役割。

2.上がってからの帆を安定させる支柱の役割。

帆柱は船体の底の部分にある「ちそうがん」というところに差し込み固定させます。その時カーブしている内側を網側に向けます。これは風で帆柱を折れにくくするためです。

そのため帆柱の根本のホゾ(結合させるための凸部分)が、その向きになるよう加工されています。また、立てる時、方向がすぐにわかる目印として水縄(みなわ)の木端が竹のカーブ側に取り付けられています。

実は、帆の推力と網の抗力がバランスよくはたらいている時には、二つの力が相殺され、帆柱に余り力がかかっていません。

操船している人の中には、手元の作業が忙しく上を見る余裕のない時は、帆柱が帆桁に軽く当たって「カタカタ」鳴っている音で、船が順調に進んでいるかどうかを判断している人もいます。

帆柱をもっとくわしく!

帆柱の長さはおよそ14メートルで、竹材は孟宗竹(もうそうちく)です。切り出す時、真っ直ぐで先の方がややカーブしている竹を選びます。切り出しは水を吸い上げなくなる秋の終わりから冬にかけて行い、その後一年間乾燥させてから使用します。今は近くの竹林から切り出していますが、昔は良い竹を求めて遠方まで出かけることもありました。

帆桁(ほげた)の仕組みとはたらき

帆桁(ほげた)は、帆の上部に取り付ける横木で、帆を上げるはたらきと下側の「帆足の針金」と対をなして、帆をふくらませるはたらきをしています。

帆柱と同じ孟宗竹を使用します。長さは帆柱よりおよそ5メートル長い22メートルぐらいです。そのため2本の竹をつないで作ります。

イラストを見て下さい。2本の竹の長さが違うのがわかりますか?太い竹の方が長く、細い方が短いですね。

なぜかというと、網を引くとき、帆桁に大きな力がかかるため、強度の弱いつなぎ目が帆柱に当たらないように帆桁の中心をずらして、太い竹の方に当たるようにするためです。さらに「てんびん」で二本の竹を固定し補強します。

てんびんを取り付ける時に、竹との間に木や竹の木端をはさみ、すき間を作ります。なぜかというと、後ですき間を利用して帆桁にいろいろな綱をしばり付けるためです。 帆桁(ほげた)のはたらきと仕組みが分かりましたか?

帆桁(ほげた)をもっとくわしく!

竹のつなぎ方

1.太い竹の方の節をくり抜きます。

2.細い竹の先をくり抜いたところに通し針金でしっかり固定します。

3.帆布をやぶらないように針金の先を竹に埋め込みます。

てんびんの役割

二本の竹をまたいで取り付けられている角木を「てんびん」といいます。現在は補強としての役割が強調されていますが、その名の通り竹の長さと重さのバランスを取る役割も果たしています。

すき間の役割

すき間を利用して滑車を取り付けているところ

帆柱の仕組みとはたらき

帆引き船の帆は大きな一枚帆で、ボールを半分に割ったような形に膨らむのが特徴です。さらに帆をつないでいる布の一枚一枚も膨らむように作られています。

なぜでしょう?

テーマ2のメカニズムのところを読み返してみて下さい!

そうです、帆の一番の役割は風の力を利用してシラウオやワカサギに負けないスピードで網を引っ張ることでしたね。

帆全体を丸くふくらませるのも、帆の一枚一枚をふくらませるのも、風の力を最大限利用して船の馬力を上げるためなのです。

また、帆の一枚一枚を膨らませるのは、風が急に弱まった時に、少しの間風をため込んで、船を安定させる働きもあると言われています。

文 岩崎真也